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なのに、あたしの足は途中で止まった。
気づけば公園にいた。夜だから、子供どころか誰もいない。
遊具の下に潜り込む。狭いところは安心する。
ルイの家なら、もっと安心なのに。
わかってるのに、なんで飛び出してきちゃったんだろう。
お腹もすいた。どうせならご飯食べてから出ていくんだった。
「ルイ! る〜い〜!」
いつのまにか、彼の名前を呼んで、あたしは泣いていた。
彼に会いたくてたまらなかった。
抱っこして、優しく背中をなでて欲しかった。
「すみれ、すみれ〜!」
あれ? あたしを呼んでる?
「すみれ〜‼︎」
ルイの声だ!
「ルイ! る〜い〜っ!」
あたしも叫んだ。
「……こんなところにいたのか」
光を当てられて眩しかったけど、ルイが隠れてるあたしを見つけた。
暖かい腕に抱き上げられる。お日さまみたいな匂いにホッとした。
「ごめんな。イヤだったんだろ? さくらの匂いが。さくらの物はちゃんと片付けたよ。ベッドもすみれのを用意したから」
「そうよ。ちょっと……わかってないみたいだけど。もう、名前、間違えないでよね?」
「すみれ」は、あたしがあなたのところに来た日、つけてくれた名前でしょ。
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