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錆びたブランコ、
蔓が巻きついた鉄棒、
蜘蛛の巣が張られたうんてい。
土管は無くなっていたが、啓介の目的地は間違いなくここだった。
そこには涼しげな空間が広がっていた。
一歩、公園の中に踏み込むと、キチキチと鳴いて、大きなバッタ───ショウリョウバッタだろうか、が脇の茂みから飛びたった。
砂場の横。
心做しか雑草の量が少ない。
スコップを持って来れば良かったな...
ギラギラと照りつける日差しの中、
啓介は、両手を使ってそこの地面を掘り始めた。
しばらくして、お菓子の空き箱が姿を現した。
金属製のボディを持ち上げると、べコンと音を出した。
それは、啓介がちょうど十年前に埋めた、タイムカプセルだった。
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