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喧嘩するのは仲が良い証だとどこの偉い人が言ったんだろう。
初日の夜にはパジャマを隠されるし、屁の目覚ましを食らうわ、大量のワサビを寿司に投入されるわ……数々の嫌がらせを受けて精神もすり減ってきていた。
「お前なああ!!」
だが、今朝、とうとう堪忍袋の緒が切れた。
「人の営みを見学するくらいどうってこともないはずじゃ。むしろ我輩に感謝せい。今のあやつがあるのも我輩の指導があるからじゃな!扱えないというのじゃったら、引き受けても構わんぞ?」
「こいつっ……!身内だからって良い気になりやがって!何が爽やかな少年だ!」
圧倒的な敗北感にさらに腸が煮えくり返る。
胸を張るガキに眼を飛ばしても効果はない。くそ!
「もうおしまいか?お前も根性がないな〜」
「おま、ほんとにっ……!」
「あ、緋露!」
ドアが開いた瞬間、やつの声のトーンが子供の明るい高さに戻る。
本当に、なんで緋露は俺とこいつを一緒にしたんだ?
「ひ、緋露……?」
一歩出遅れてドアの方を見ると、緋露を黒いオーラーがまとわりついていた。花のように咲く口元は一緒でも、心が笑っていないのは彼と過した者ならすぐに見抜ける。
「そうちゃん……?浩慈くん……?うるさいよ??」
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