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ぱちりと音がして部屋の電気がついた。
しぱしぱと明るく爆ぜる目を凝らしてみれば、そう遠くないドアの前には寝巻きのままの実崎さんが立っていた。先程のポルターガイストの騒音で起きてきたのだろう。悪いことしてしまった。
「あの」
「うん」
「幽霊、出ました」
「出るって言ったじゃん」
「いやいやいやほんとやばかったんですって。立ってるだけじゃなくて笑いかけてきましたし、足引っ張られましたし」
「気に入られたんじゃないの?」
「嬉しくね〜〜〜」
明るいところへの本能的な安心感なのか、人と話せたからかは知らないが、先ほどとは打って変わってメンタルが安定していた。心臓もだんだん落ち着いてきている。でも今日はこのまま帰らせてもらおう。
「………というか、どうしてこんな部屋まで来てるの」
「いや気づいたらこの部屋だったんですよ!タイル見失っちゃって……」
「一本道なのに?じゃあさっきすごい音したのはそれ?」
「そうですね、あっ」
そこまで喋って、ふと手元の「なにか」に気づく。幽霊がポルターガイストで落としていった缶から出てきた、なにか。
「この間から出てきたんですけど、これって歯で」
ばん。
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