蜜の香りに誘われて

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蜜の香りに誘われて

「君、いい香りがするね?」  ……とある目的で参加した合コン。そこで出会ったその女の子は、僕の言葉に少し照れたようにはにかんで見せた。  僕は少し姑息な手を使ってその子の隣の席に移動して、彼女の気を引くような言葉ばかりを使って話しかけていた。そんな僕に少しずつ心を開いていく素直な彼女が微笑ましくて、少しだけ可愛くも感じた。 「じゃあ、香水とかの匂いじゃないんだね?」 「だから違うってば、いい香りがするなんて、初めて言われたのよ?」  何度も確認すれば、君は困ったように笑って……その甘い蜜のような香りをもっと濃厚にさせていく。  ……きっとこの子に違いない、長い時間をかけ探してようやく見つけることが出来た。それだけで気持ちが昂るのを感じた。 「……ねえ? 僕はもっと君の事が知りたいんだ、教えてくれる?」  僕を疑うことも無くあっさり頷いてしまうなんて、君はいい子なんだって事が分かるよ。僕の差し出した手に自分の手のひらを重ねると「先に帰るね」と知人に伝えた僕に迷わずついて来るんだ。  どこか期待するような目をして僕の隣を歩く彼女は、ますます香りを濃くして僕を誘っているみたいだね。    ああ、本当に僕にとってとても……いい子の君。
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