魔女が住む家

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「お世話になっております、里中先生。さ、どうぞ上がってください。」 ドアを開けて出てきたまなみさんのお母さんは、以前会った時と同じでとても感じが良かった。お花が綺麗に飾られている玄関を抜け、リビングに案内された。一般的な家の広さのはずなのにとても広く感じるのは、物がしっかり片付けられており無駄なものが一切置かれていないからだろう。私は椅子に座ってから周りを見渡してそんなことを考えていた。 「お口に合うかわかりませんが、こちら召し上がってください。」 お母さんが和菓子の詰め合わせを出してくれた。 「ありがとうございます。いただきます。」 一つ口に運び、キッチンからお茶を持ってくるお母さんの方へ目を向けた。物がごちゃごちゃなりやすいキッチンも、他の場所と同じようにとても整理されていた。食器棚の横に並んでいるたくさんの瓶は、調味料だろうか。きっと料理も本格的にされるのだろうと思った。 「とてもきれいにされていますね。」 思わず私がそう言うと、お母さんは恥ずかしそうに首を振った。 「そんなことないですよ。いつもはもう少し散らかっています。先生がいらっしゃるので、お恥ずかしながら昨日急いで掃除したんです。」 どうぞ、とお茶も差し出してくれた。
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