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息子と一緒に帰ってると、一組の母娘と遭遇した。
愛しい妻と可愛い娘だ。
娘は僕を見るなり、猛スピードで駆け出し、僕はそれを受け止めた。
美兎は拓飛のレギュラーに喜び、その笑顔に癒された。
「そうだ。これ……君に」
僕はバラの花束を美兎にプレゼントした。
「何かの記念日だったけ?」
「記念日じゃないけど最近、かまってやれなかったお詫びを含めてさ」
当初、美兎はバラの花束に難色を示していた。
家計や事務所の経理は全て美兎に任せた影響なのか、不必要な出費はやめてとよく叱られた。
案の定、美兎は口癖の「もーっ」と鳴いた後、
「でも、ありがとう」
顔を赤く染まりながらお礼を述べた。
「いいさ」
僕はそんな妻がたまらなく愛おしく感じ、たまらずおでこにキスしてあげた。
「アツアツだねぇ」
「アチュアチュねぇ」
子供達は僕達夫婦の熱愛ぶりを茶化した。
「こら、大人をからかうんじゃありません」
妻はすぐに子供達を窘めたが、まだ顔は赤かった。
それから僕達は再び歩き出した。
家族4人で仲良く、今夜のシチューに思いを馳せながら自宅へと向かった。
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