縁側の月

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帰り際、徹君は私をぎゅっと抱きしめると「好きだ」とストレートに言った。 「私も」と返すと、ぐっと抱き上げられる。 「まじで離したくない」 心がいっぱいになる。 「大好き」 単純な言葉じゃ伝えきれない喜びをぎゅっと抱きしめることで伝えようとする。 しばらく抱き合って、そっと優しく床に下ろしてくれる。 そのまま私をまだ離さない。 「ずーっとこうしてたら、フットサル、遅れちゃうよ」 「あぁ。 はい、行きます」と私の肩に頭を乗せる。 なにか急に思いついて、ニコッと笑った。 「再来週、試合だわ。観に来て」 こんな笑顔で誘われたら行くしかないだろう。 「うん。いく」 「でもその前に会いたい」 と正直に言うと、うん、と言いながら私の頭に口づけた。 「今度、仕事の後、俺んちの近くにきたら、声かけて。それか今週土曜は空いてるし、連絡する。デートしよ」と立て続けに誘って、帰って行った。 徹君の家とか、デートとか。 大人になってもキュンとする。
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