甘さと苦さ

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徹君がお仕事の帰りに寄って、と誘ってくれたのに甘えて、平日だけど塾の仕事の帰りに徹君に会いにいく。 アパートの階下のコンビニに着くと徹君に電話をする。 「下についたよ。何かいる?」 「待って。今行く」 初めてお邪魔するから、部屋番号も知らない。 部屋着だろうスポーツウェアとTシャツで迎えに来てくれた。 「家に色々あるし、後で大丈夫」 と、直接アパートの入口へ向かう。 3階の端っこの部屋に案内される。 靴を脱いで揃えてあがると、一人暮らしには広めの2LDKの部屋だった。 シンプルに小さなダイニングテーブルと二人がけのソファ、小さなコーヒーテーブルが置いてある。 「葵、ご飯食べた?」 「まだ。授業の前に軽食食べたけど」 「パスタ食べる? さっき俺は、食べたんだけど。すぐ出来るよ」 「トオルくん、料理するんだね」 「ん。ちょっとだけ。学生時代から一人暮らししてたしね」 お喋りしながら手際よくパスタを茹でる。 「一人暮らしなのに、広いね」 「あー、仕事のもの置ける部屋が欲しくって。ココ、叔父のアパートだし、安くしてもらってるの」 徹君は今、叔父さんの設計事務所で働いている。叔父さん、不動産もやっているのか。 「横浜にいた時は、結構狭いマンションだったよ。っていうか、一人暮らしで、一軒家に住んでる人がソレ、言うかね?」 と、笑っている。 確かに。そうだった。あはは。 「私も東京では小さいワンルームだったよー」 田舎ばんざい。
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