甘さと苦さ

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「俺さっきから、語りすぎじゃない。引いた?」 「ははは。全然。うれしい」 知り合ってから、少しずつ、徹君に魅かれて好きになったけど、こうして、しっかり話をしてくれると、なんとなく点と点がつながっていく感じがする。 「もっと徹君のこと、知りたいくらい」 と、素直にいうと 「あはは。それ、やばい」 と、笑って、ぐっと引き寄せられて、腕の中に閉じ込められる。 「なにが知りたい?葵ちゃんには、なんでも教えるよ」 優しく笑っている。 特に鋭い質問を思いつきもしないけど、からかってみようとカマをかける。 「なんでも?」 「うん、なんでも。……え、って、何聞くつもり?」 と、クスクス笑っている。 いろんなことを知りたいけれど、本当は、こうやっておしゃべりしているうちに、徐々にわかっていけばいいのかなぁと思う。 「まぁ、今度でいい」 と、はぐらかす。 「え、あ、そう。俺は聞きたいこと、山ほどあるけど」 「私は徹君になんでも教えるなんて言ってないよ」 と、からかってやる。 「え、そう。……あぁ、そう。まぁ、いいか」 納得したのか、しないのか、困った声を上げている。 大きな腕に抱きしめられたまま、ふざけていたら、一個だけ聞きたいことが思いついた。 「徹君、質問一個あったよ。地元に帰ってきて、付き合ってた人いる?」 急に迷惑かなぁと思うけど、何でもって言うのだから聞いておく。 元カノとか、結構いそうだし、全部話してくれなくてもいい。 自然に知ったら、知っただし、人それぞれに話すタイミングがあるだろうから。 でも、もし身近に、そういう人がいるんなら、聞いておきたい気がする。 「それ、答えたら、おれも聞けるの?」 「そういう条件? なんでも、って言ったのに」 「んー。そうか。じゃ、お風呂ん中で話すわ。行こうか」 え? 一緒にお風呂に入るの? どういうこと? 「お風呂なら、話してて、もしかして途中で葵が怒ってもすぐに帰れないし」 と、訳の分からないことを言うと、私を抱き上げた。 私を抱えてお風呂場へどんどん歩いて行く。 怒るような事を言われるのか? とちょっと不安になる。
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