甘さと苦さ

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「そんな、私が怒るような事なの?」 「さぁ。念の為。万が一、怒っても裸じゃ、帰れないでしょ」 クスクス笑っていて、本気なのか分からなくなる。 「なにそれ。お酒飲んじゃったし、どうせ帰れないよ」 歩いて帰れないこともないけど、元カノの話で怒ったりしないと思う。 こないだBBQで会った日野さんの事を思い出す。私に紹介してくれた女の子の中に最近まで付き合ってた子がいたりするのかなとか、ちょっと嫌な考えが頭を過る。 徹くん、モテそうだし、優しいからあるかも。 それか二股?  なんとなく付き合うって私に言ったけど、実は他にもいるとか?彼女いないって始めに言ってた気がするけど。。。 一瞬でぐるぐるとそういう事が頭を廻る。 徹君が私を覗き込んできた。 いつも明るく優しく、大人の女性でいたいけれど、私は、時にどうしようもなく子供で、弱気で、情けない人だ。 じっと私の顔を伺って、優しい声で 「ごめん、嘘。多分怒るような、そんな変な事ない。葵ちゃんと一緒に風呂に入りたいだけ」 と白状した。 そう取りなされても、私の頭の中はモヤモヤしている。 それを振り切るように、ぎゅっと抱きついて深呼吸をした。 「やっぱり聞かないことにする」 徹君の胸から顔もあげずに言いきる。 「え、お風呂一緒に入るの、そんなに嫌?」 あはは。 そういう事では無いんだな。 でも、まぁそういう事で勘弁してください。 それに、実際、お風呂って恥ずかしいんだよな。 お風呂、一緒に入りたい。湯船のとこはいい。けど、服を脱ぐのと身体を洗う部分は徹君と一緒はものすごく恥ずかしい。 「嫌じゃない。けど、かなり恥ずかしい」 「俺は葵ちゃんが恥ずかしがるトコも含めて、良いんだけど」 と、しれっと言ってのけた。 え。。。エロい。 徹君は、普段、優しいし紳士的だと思っていたけど、もう分かった。この人、スイッチが入るとストレートにエロい。 「分かった。私が先ね。ちょっと待って。3分! 」 よいしょっと、徹君の体の向きを反転させてドアに向いてもらう。 「目をつぶって、3分!」 「はい、はい」 ちゃんとこっちを見てないか確認して、さっと服を脱ぐ。軽くまとめると、お風呂へ逃げた。 3分は短い。 慣れないお風呂場で、慌てて身体を洗う。 「3分!」 徹君が脱衣場で笑っている。 「も、もうちょっと待って下さい」とお願いすると「はーい。ゆっくりで大丈夫」とお返事が来た。 「ありがとう」 ちょっと落ち着いて、髪の毛を洗い流し、綺麗に泡をシャワーで流した。 入浴剤の入ったお風呂に浸かって、徹君を呼ぶ。
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