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週末は、土曜に私の塾の仕事が入ってしまって、約束していたデートには行けなかった。
もう一人の先生が風邪をひいて、代打でクラスを受け持ったのだけど、小さいチームでやっているので、こういうことはお互い様だ。
トオル君は、
「ん、わかった。俺もちょっと家で仕事するわ。夜は会える?」
と聞いてくれた。
「あの。生理中だけど、いいですか」
と確認する。こういうことは、付き合っていくなら当たり前のことだけど、すこし言いづらい。
「全然いいけど、体、きつい?俺がごはん作ろうか?」
と返事があった。
仕事の終わった八時過ぎ、トオル君が家に来てくれて、トオル君がパスタを作ってくれて、私も一緒にサラダを作って、一緒に食べた。
テレビをみて、一緒に映画を一つ見る。
なんてことない夜を一緒に過ごす。
夜はお腹がちょっと痛い私の腰に手を置いて、一緒に寝てくれる。
私はトオル君の腕の中にすっぽり収まる。丁度いい。
「トオル君、今日、ありがとうね」
と、ベットの中でお礼を言う。
「なに?」
何に感謝されているのかわからないらしい。
「今日、お仕事になっちゃったけど、怒らなかったし。ご飯も作ってくれたし。うれしかった」
「ん。俺も、忙しくなったら、がーっと忙しいから。忙しいって言っても、ちょっとはこう会える程度の忙しさだけど、これから、週末出かけたりできないのがちょっと続いたりって、余裕であるから。そこは、お互い様で勘弁してください」
「はい。お願いします」
大人同士、仕事で会えない、そんなことはこれからたくさんあるだろな。でも、私の不定期な仕事を対等に扱ってくれるのは、うれしかった。
大好きが伝わるように、ぎゅっとトオル君の胸に顔を寄せる。
小さい子供にするように、頭を撫でてくれている。
この人といると、安心する。
大丈夫だから、もうちょっと頑張ろうと思える。
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