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実家での集まりが終わると、泊まらずに、自分の家へ帰った。
暗い縁側に座って、足をぶらぶらさせて、夏の夜を見ている。
従兄や、兄がワイワイお酒を飲んだり、ご馳走を食べる親戚のにぎやかさは楽しかった。
同時に少し心がやられて、一人になってから、泣きそうになっている。
楽しさ半分、辛さ半分。
辛さの部分は、意地っ張りで、負けず嫌いな自分の小さなプライドのせいだと分かっているのに、どうしようもない。
ただ、心配されている、気にかけてもらている、と思えるような優しい子なら、こんなに心は消耗しないのだろうから。
足をぶらぶらして、思い出す。
そういえば「いい人、いないの?」と聞かれたなぁ。
好きな人はいる。
大好きな人はいるけれど、その人を「三十の独身女の親戚」の前に引っ張り出したら、ピラニアみたいに骨まで食べられてしまう気がする。
徹君が私の親戚に囲まれている姿を想像すると、ちょっと面白い。
でも、現実的にはたぶん、悲惨すぎる。
だから、大事に取っておくのだ。
まだ、ただの恋でいいでしょう?
大人になると、どうして、世界は甘いばかりじゃないのだろう。
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