縁側の月

試合

ギャラリーから階段を降りる直前にコートを振り返ると、みんなも控室に向かって体育館を出てくる所だった。

玄関のホールで合流することになる。

喉の奥がきゅっとしているのを落ち着けようと、息を吐きながら階段を降りる。

ホールに降りると、川西さんの奥さんがいて、優香さんと私に手を振ってくれていた。
挨拶して、川遊びのBBQのお礼を言うと、にっこり笑って
「この後もあっちのキャンプ施設の方でBBQだよ。そこで試合結果の発表だし、残って食べてってね」
と誘ってくれた。

話していると、体育館からチームの男性陣とコートわきで応援していた人達がぞろぞろと出てきたのが見える。

徹君も木元君たちとこちらに向かって出てくる。日野さんや橘さんらもお喋りしながら一緒に出てくるのが見えた。

もしかして恋の邪魔しているのが私でも、今、徹君の側で笑っているのは私でありたい。

徹君に恋をしている人は日野さんだけじゃないかもしれない。これから恋をする人もいるかもしれない。

私はそういう子を泣かせる、ひどい人になっても、徹君の側にいたい。

こちらに向かって歩いてくる、徹君と目が合う。

「トオル」

私は酷いことをした。