4804人が本棚に入れています
本棚に追加
その後もBBQは続いて、お酒も進んだ。
私は車なので、ノンアルビールを頂いて、徹君はビールを飲んでいる。飲みながらも、前のBBQと同じように、徹君は、私が十分食べているのかさりげなく気にかけてくれる。
それぞれに他のチームと交流もあるようで、あちこちで人が輪になって話したり、子供が走り回ったり、にぎやかなイベントだった。
川西さんたちとおしゃべりしていたのだけど、少し前に徹君がトイレ、と席を立った。少しして、日野さんが向こうのグループから離れて席を立つのが見えた。
急に嫌な予感がして、胸が苦しくなった。
そもそも私の勘違いだったのかどうか、はっきりしない。
ただ、もし私の勘違いではなくって、日野さんは徹君に気があって、今、日野さんが徹君を追って行ったのだとしても、それは二人の問題で、私が関われることではない。
それでも心臓がせわしなくなるのは避けられない。
少しすると、徹君と日野さんが、帰ってきた。
気にならないわけはないけど、徹君がこっちに戻って来たので、なんでもないふりをして川西さん夫妻たちと一緒にそのまま会話をつづけた。
少しして、橘さんが「私たち、これで失礼します」と会計とあいさつに来た。
日野さんと森下さんはそのまま少し離れた場所から、会釈をして挨拶する。私も頭を下げて、挨拶を返した。木元君がすこし橘さんと名残惜しそうに話して、駐車場まで女の子達を送っていった。
内心、何事もなく帰って行く様子に少しほっとしている。そしてそんな風に思っている自分にチクリと心が痛い。
今回も川西さんご夫婦にBBQを仕切ってもらったので、私たちは片付けまで手伝ってから、帰ることにする。
ごみやリサイクルを仕分けて、大体帰る支度が整うと、レイコさんに徹君が会計を済ませる。
川西さんが急に
「で、二人はいつから付き合ってんの?」
と、聞いてきた。
「なに、川西さん、急に」
徹君が突っ込んだ。
レイコさんが笑って、
「だって、びっくりしたよ、さっき」
と、私に向かって、話を促す様に付け足した。
二人に隠すことでもないので、
「すみません。半月くらい前です」
と私が答えた。
酔っぱらっている川西さんが、
「葵ちゃん、大丈夫?こいつに変なことされてない?」
と笑った。
「え?大丈夫ですよ。」
「川西さん、どういうイメージですか、俺」
徹君は心外そうに眉を寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!