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あははと豪快に笑った。
「え、どうって、お前みたいな好青年ぽい奴にかぎって、むっつりっぽいだろ。ヤバそう」
「なに、それ」
レイコさんまで笑っている。
そういう話か。
確かに、徹君、好青年っぽいけどな。夜は確かにかなり色っぽいな、と一瞬思ったら、これまでの夜にされたことがざっと頭をよぎって、焦った。
「はは。そういう心配ですか」
と濁したけど、変なことを思い出してしまって、たぶん耳が赤い。
「むっつりじゃないですよ。隠してませんから」
少し酔った徹君が笑っている。
「なんだ、お前。エロいの隠してないんか」と、ガハハと大笑いしている。
片付けが済むと、川西さんたちにお礼を言って、駐車場へ向かった。
車に乗ると、徹君は助手席から手を伸ばして、私の手を握ると、
「葵ちゃんち、行っていい?」
と、甘えるように聞く。
「うん。いいよ」
ぎゅっと手を握り返して、手を離すと、運転し始めた。
「今日、楽しかった?」
ふと徹君が聞いてきた。
「うん。楽しかったよ。徹君のかっこいいとこ見れたし」
運転しながら、返事をした。
「ん、よかった」
と、つぶやくと何か考えているようだった。
ほんとに楽しかった。
だけど、同時にいろいろあった一日だった。
自分は、この人のことになると、かなり意地悪な女になれるのだと分かった。
多分、その気になったら、あの子の前で、もっと意地悪できた。
大人げない。
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