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家について、徹君がシャワーしている間に、お茶をいれて、少しほっとする。
私は、この家に、徹君を閉じ込めてしまいたい。
フットサル用のスポーツバッグに着替えを入れていたようで、新しいショートパンツとTシャツに着替えて、でてきた。
「徹君、なにかあとで食べる?もう夕ご飯、大丈夫?」
午後遅くのBBQで、私はお腹がいいけれど、徹君はどうだろう。
簡単なものなら、作れる。
キッチンに立っていた私の前にきて、返事もなく、腕の中に私を囲った。
「トオル、でしょ」
と、誂うように訂正された。
「あ、ん。そう」
徹君が色っぽい目をしていると、私は足がすくむ。
「今日、ちょっとびっくりした。嬉しかったけど。俺がなんとなくみんなに言おうと思ってたから」
今日の出来事を振り返るようにささやかれる。
「あれは私、いじわるだったね」
女の子の友だちをけん制するなんて、嫌な女だと思うだろうか。
「いじわる?そう?」
気が付かなかったら、それでいい。
「そう。いじわるしたら、罰が当たったけど。あの後、徹君の家族もいるのに、ずっと呼び捨てとか、なんかすごく恥ずかしかった」
と白状した。
「俺の名前呼んだら、いじわるなわけ?みんなの前で惚気てるだけじゃん。それは無害」
面白そうに笑っている。
「んー、違うよ」
説明しないで逃れられないかしら?
誤魔化そうとするのに、徹君は逃がしてくれない。
分かっていて聞いてくるのかもしれない。
「あれは、攻撃です。やばい。ひどいことしたよ。私だったら、泣いてたかも」
ほんとに、人前で、私は結構ひどいことをした。
「葵ちゃん、ほかの子に嫉妬してた?」
私の顔を覗き見る。
「嫉妬かなぁ。徹君はだめだよって言いたかっただけ。マーキング」
「マーキングか。そうかぁ」
と納得している。
「俺もマーキングしていい?」
「今日、もうずっと呼び捨てにしてたよ」
「それとは別。じっとしてて」
ブラウスのボタンを数個外して、胸元をはだけると胸元に口をあてた。
「ちょ、ちょっと、汗かいてる!」
と、逃げようとしても、腕を掴まれていて、逃げられない。
心拍数が上がるのがわかる。
ぐっと吸われて、軽く痛みが走った。
口を離すと、徹君がゆっくり指で赤くなった場所をなぞる。
「俺のです、ってマーク」
ふざけていたのに、せつない顔をしている。
なんだか、徹君にとっても大変な一日だったのだろうなと思う。
日野さんとなんか話をしたようだし、疲れたかもしれない。
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