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9月の連休前にしたのには、理由がある。
徹君がその金曜日の夜、横浜で前に勤めていた建築事務所のパーティーに呼ばれているので、同じ日程で東京にいき、連休を利用して翌日デートすることにしたのだ。
元カレが仕事の発注元になったことは前に話してあったので、加藤さんからミーティングの打診があった際に、徹君にもそれとなく話した。
そうしたら、この連休ならちょうど日程を合わせることができるということになった。
金曜日は別々だけど、土曜日に東京か横浜でデートして、一泊して、日曜日まで楽しんでくる。いいプラン。徹君とは都会でのデートをしたことがないので、かなり楽しみになった。
そして、私が東京に行くといったら、アンドリューも行きたいと言い出した。
「デートの邪魔はしないから、金曜日、一緒に行こう。アオイの会議中は一人で観光しているから、金曜日の夜、一緒に街に行こうよ」
田舎すぎて、あまり遊ぶところがないから、たまには東京で遊びたいらしい。
確かに、ここでは刺激的な出会いはないだろう。
私が一緒に行かなくても、活動的なアンドリューは一人で行くんだろうけど、まぁちょうどいいので、金曜日の夜だけ案内することにした。
とはいえ、金曜の夜、アンドリューは行きたいのは、若者に人気で、かつ東京らしい、そしてゲイの子があつまるようなところだ。
東京には大学時代も含め十年くらい住んだけど、そんな派手なところには出入りしていない。
かなり地味な学生生活、社会人生活だったと思う。
クラブで遊んだのなんて、留学していたころに友達に連れられて行った数回だけだと思う。
アンドリューと同じレベルの知識しかなく、お勧めの場所をネットで探す。
ぜんぜんどうしていいかわからなくって、東京に住んでいる繭ちゃんに連絡してみた。
「ぜんぜん知らないよー。でもそういうとこ、面白そうだから、私も行きたい」というのが彼女の返事だった。
彼女は漫画が大好きで、BLも好きだ。
そういうことでもないと思うんだけど、久しぶりに会えるのはうれしいので、合流することにする。
東京で遊んでいそうだ、というとあの人のことが頭によぎる。
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