東京

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薄暗いバーは長いカウンターを中心に、壁に沿ってテーブル席が少し。奥は空いていて、立って飲む、もしくはDJ用の踊るスペースっぽい。 お客さんはチラホラで、私達のようなグループより、カウンターで一人でいる人が二人、テーブル席で携帯を見ている人が一人だけだった。 飲み物をハーフっぽいオシャレなバーテンダーさんからカウンターで注文して、一旦席につき、田口君に近況を聞いたり、田口君に地元の近況をアップデートする。 気づいたら繭ちゃんはアンドリューに日本の漫画にはBLというジャンルがあるのだ、と熱心に説明していた。 10時を過ぎて、徐々にお客さんが入ってくる。まだまだ夜は早いのだろう。 二杯目を飲み始めた頃、坊主の男の子が、奥で機材を出し、音楽をかける準備をし始める。 それまでスピーカーから軽くかかっていたのとは違う、大きめのダンスミュージックだった。聞いていると、ヒットチャートで聴いたようなメジャーな洋楽のアレンジもあれば、低音のビートの効いた思いっきりクラブっぽい曲もかけている。 音楽はうるさ過ぎはしないけれど、少し近くで話さないと会話しにくい程度で、室内のライティングもぐっと暗くなって来ている。 ちらっとフロアを見渡すと、三十代後半位の男性が奥でグラスを持ったまま、音楽に合わせてリズムを取っている。 十年前位に流行った洋楽がかかって、ちらほら奥へ踊りに行く人も増える。 外国人の人もいて、大体みんな二十代後半から40代、もしかして50代という落ち着いた年代だったから、踊るにしてもこの選曲は納得だった。
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