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兄の近況から、自己紹介のような世間話に話が移っていく。
先程、同僚と席を立ったときに挨拶した時はしっかりして落ち着いた印象だったのだけど、こうして話しているとケラケラと良く笑い、気さくな人のようだ。
酔ってるせいで、頬は赤く、話しながらも、ふわふわと体が揺れる。
今の仕事に至った経歴を話すと、すごいねぇ、すごい、とかなり感心してくれた。
実際、有名大学を出て、留学経験もあり、倒産したとはいえ東京の企業でしっかり働いていたんだから、彼女の経歴の方がすごいし、面白い人生のような気がするけれど。
そうやって褒めた挙げ句、子供扱いして「徹君、大きくなったね」なんて言ってくる。
子供の頃の会った時の事は覚えていないし、3年違いとはいえ、酔って少し子供っぽい表情を見せる女の人に逆に可愛がられるというのは、少しくすぐったい。
「かわいかったけど、かっこよくなった!」
褒めているつもりなのか、からかっているつもりなのかわからない。
酔ってる、といなすと「あはは」と笑って赤くなったほっぺたを両手で押さえた。
初め、書店で会った時は、シャイな人見知りな人かと思ったら、今日会うと一人で落ち着き払ってお酒を飲んでいた。カウンターでバーテンダーと会話する姿は大人の女性だった。
今は隣でくだけた仕草でケラケラ笑い、隙だらけの女の子に見える。
掴みどころがない。
なんだか気になった。
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