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泊まっているホテルについて、エレベーターに入ると、徹君が少し目を細めてふわりと笑った。
「何?」
聞いても、微笑むだけで、答えてくれない。
部屋について、カギをかけると、徹君はバサッとジャケットや鞄を放り出して、いきなり私をぐっと抱き上げた。
「はぁー。ようやく二人だ。やばいくらい抱きしめたかった」
と、ぎゅっと抱きしめる。
しばらくそうしてから、優しく私を床に下した。
ああ、嬉しい。
「今日は、来てくれて、ありがとう」
改めてお礼を言うと、チュッと軽く口づけて、
「どういたしまして。邪魔しちゃ悪いと思ったけど、どうしても今夜、会いたかった」
と、目を見て、優しくささやく。
さっきから、ずっと、私は徹君にもっと抱きしめて欲しいと思っている。
手を伸ばして、首に回して、キスをせがむ。
応えるように、深く口づけられて、体が熱くなるのを感じた。
長いキスで苦しくなって、顔をそらす。
胸にうずくまりたかったけど、徹君は今日、すこし光沢のある真っ白なシャツを着ていて、お化粧が付いてしまいそうだ。
少し考えて、
「お化粧がついちゃうから」
と言い訳のように言って、徹君のシャツのボタンに手をかけた。
酔っている私はいつもより、大胆だと思う。
そして、なにより、ただただ徹君に胸に顔をくっつけてぎゅっと抱き着きたい。
「脱がしてくれるの?」
徹君のからかう声がする。
シャツをズボンから引き抜きながら、全部のボタンを外して、前をはだけるとそのまま徹君の胸に顔をうずめた。
徹君が優しく髪をなでてくれる。
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