東京

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この人は、夜になると、どこまでも甘く、激しくなる。 浴びせられる言葉や愛に私ばかり、溺れてしまう。 どうしても立っていられなくなって、カーペットの床に座り込んだ。 立ち上がった徹君が「立てる?」と手を貸してくれようとする。 私ばかり、もう溶けて、ふらふらしているのに、まだ徹君はしっかりしていて、私が困っているのを楽しんでいるように見える。 すこし悔しくなって、しゃがみこんだまま、徹君のスーツのベルトに手をかけた。 この人が困った顔が見てみたい。 すこしびっくりしたようだけど、私のいたずらに笑っている。 徹君に見られていると思うと、ドキドキした。 ベルトを外して、ズボンを下すと、徹君が足を上げてくれたので、そのままズボンを脱がせて折りたたんで横においた。 徹君が私が次に何をするのか見ている。 徹君の顔を見上げる。 変な負けん気が出てきた。 私が困っているくらい、困ってほしい。 下着の上から、軽くそっと触れる。 すこしだけ、徹君が焦ったような気がする。 そのまま指先で触れていると、すこし困ったように笑って、「葵、くすぐったい」と言われてしまった。 悔しくなって、下着に手をかけようとする。 そしたら、そこで徹君に優しく手をつかまれて、静止された。 「葵ちゃん。かなりうれしいけど、今日はここまでで。俺、今日、結構酔ってるから、コントロール効かないからまずい」 そういうと、徹君は、そのまま私をそっと立ちあがらせて、手を引くと、ベットにつれて行った。 九月の夜はまだ暑く、長く、甘い。 お酒に酔っているのか、徹君の色気なのか、分からないけど、くらくらして、ずっと溺れていた。
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