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三日目、私は、アンドリューとキノコ狩りに勇んで出かけた。
スポーツウェア上下に、ウィンドウブレーカーを羽織って、汚れてもいいスニーカーで出向く。
この間の案を採用してくれたらしく、受付で木下さんが赤いハートのシールを持って、参加者の服につけている。
私が挨拶すると、にこっと笑って、「佐藤さんは、いらないんですよねー」とからかうように笑った。
「アンドリュー先生はどうします?」
一応、アンドリューに聞くと、『僕もいらない』というので、結構です、とお断りした。
司会は木下さんが務めて、キノコ狩りの講師は、「キノコ採り名人、佐々木さん」(近所のおじさん。)だった。
参加者は私たちを除いて、女性12人、男性10人だった。簡単な自己紹介と、シールの様子では女性10人が婚活・恋活目的で、男性は10人とも婚活・恋活目的ということだった。年齢は二十代後半から40代半ばまで幅広かった。
そういったことを、少し迷惑にならない程度にメモしていく。
町が管理する森へ入って、一時間ほど、みんなでキノコを探す。
キノコが生えていたら、佐々木さんを呼んで、食べれるキノコか教えてもらう。
不思議なもので、毒キノコでもキノコが見つかるとテンションが上がる。
探しながら、少しだけほかの参加者とも「ここ、ありそうですよね」なんて、少しだけ会話をする。
レポートをするのだから、どんな風な人が参加して、どんな雰囲気なのか知りたくて、すこしずつ積極的に話しかける。
仕事と家の往復で出会いがない、という女の子や、実は少し離れた市から、今回、わざわざ参加しているという男性もいる。
アンドリューは教わったポイントをしっかり覚えて、キノコを熱心に探している。
私も三種類くらいキノコを発見したけど、食べれる種類は一種類だけだった。
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