婚活

9/21

4805人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
三日目、私は、アンドリューとキノコ狩りに勇んで出かけた。 スポーツウェア上下に、ウィンドウブレーカーを羽織って、汚れてもいいスニーカーで出向く。 この間の案を採用してくれたらしく、受付で木下さんが赤いハートのシールを持って、参加者の服につけている。 私が挨拶すると、にこっと笑って、「佐藤さんは、いらないんですよねー」とからかうように笑った。 「アンドリュー先生はどうします?」 一応、アンドリューに聞くと、『僕もいらない』というので、結構です、とお断りした。 司会は木下さんが務めて、キノコ狩りの講師は、「キノコ採り名人、佐々木さん」(近所のおじさん。)だった。 参加者は私たちを除いて、女性12人、男性10人だった。簡単な自己紹介と、シールの様子では女性10人が婚活・恋活目的で、男性は10人とも婚活・恋活目的ということだった。年齢は二十代後半から40代半ばまで幅広かった。 そういったことを、少し迷惑にならない程度にメモしていく。 町が管理する森へ入って、一時間ほど、みんなでキノコを探す。 キノコが生えていたら、佐々木さんを呼んで、食べれるキノコか教えてもらう。 不思議なもので、毒キノコでもキノコが見つかるとテンションが上がる。 探しながら、少しだけほかの参加者とも「ここ、ありそうですよね」なんて、少しだけ会話をする。 レポートをするのだから、どんな風な人が参加して、どんな雰囲気なのか知りたくて、すこしずつ積極的に話しかける。 仕事と家の往復で出会いがない、という女の子や、実は少し離れた市から、今回、わざわざ参加しているという男性もいる。 アンドリューは教わったポイントをしっかり覚えて、キノコを熱心に探している。 私も三種類くらいキノコを発見したけど、食べれる種類は一種類だけだった。
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4805人が本棚に入れています
本棚に追加