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仰ぐ陽
「おはよう」と言う声で、目を覚ますと、徹君がこっちを見ている。
もう出かける準備をしたらしい。
ベットに引きずりこんでしまいたい。
腕をあげて、抱きつこうとすると、軽く抱きしめておでこにキスしてくれた。
「もう行く時間?」
「ん、一旦、帰って着替えるから」と言うので、私もベットから起き上がる。
身体を起こした私の手を取る。
優しい目がこちらを見つめる。
「昨日の、本気だから。考えといて」
寝起きに、真顔で見つめられて、すべてが眩しい。
あんまりに大事な事を急に言われた気がして頭が回らない。
ただ、はい、と言うと、ふわっと優しい笑顔になって、くしゃくしゃと頭を撫でると徹君は帰って行った。
まるで駄々っ子に飴をあげるようだ。
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