仰ぐ陽

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徹君はあれから、返事を聞くわけでもなく、忙しく仕事に追われている。 塾の帰りに寄ってみたけど、大きなプロジェクトの締め切り前だということで、忙しそうだった。 それでも迷惑そうでは無かったので、さっと出来るおうどんで一緒に夕飯にして、帰って来た。 おうどんを食べながら、「この間のことだけど」と話を持ち出してみたけれど、「ん? 今度、時間作るから、その時、ちゃんと返事、聞きます」と言われた。 帰り際、靴を履いていると、「葵、週末開いてる? 一緒に行きたい所があるんだけど」と誘われた。 いそがしいのに、時間を作ってくれるのがうれしい。 「うん。空けとく」 返事しながら振り返ると、徹君が腕を広げて待っている。 「もうちょい仕事なんで、葵ちゃん、元気ください」 背伸びをして、ぎゅっと徹君を抱きしめる。 ぎゅうっと強く抱きしめ返されて、元気をもらうのは私のほうだ。 しばらくそのまま抱き合っていると、徹君がそっと腕を解いて、私の頭をなでる。 「ありがと。続きはまた今度にします」
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