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「はい。・・・よろしくお願いします」
直ぐに応えたけれど、声が震えてしまった。
嬉しい。
答えを聞くと言っていたけど、こんなにちゃんとプロポーズをしてくれるとは思ってもみなかった。
緊張で急に溜まった涙が落ちてしまいそうだ。徹君に抱き着きたいけど、ここはお仕事先だと言っていたから、どうしていいかわからない。
瞬きをしたら、涙がこぼれそうだ。
徹君が私の手を取ったまま立ち上がらせる。
徹君がくるりと盾になるように駅舎に背を向けると、ぎゅっと抱きしめてくれた。
大好きな人の胸に顔をうずめる。
心臓がうるさいくらい鳴っている。
おでこに徹君のキスが落ちてくる。
顔を上げると、軽くチュッと口にキスされた。
もう一度私を抱く腕に力を入れたあと、そっと私の身体を離した。
川沿い側のベンチにもう一度私を座らせて、徹君は、はぁー、と大きなため息をついた。
前かがみに膝に肘をついて、顔を覆う。
「緊張した……」と、吐き出すように言うと、髪の毛をくしゃくしゃと掻き上げる。
徹君も照れたり、緊張するんだな、とニヤニヤ見つめてしまった。
それに気が付くと、徹君は私をみて、「余裕っすねぇ。俺、人生一、緊張したのに」とにらんでくる。
「私も緊張したよ。うれしくて吹っ飛んじゃった」
さっきから、嬉しすぎて、ずっとニヤニヤしている。
ニヤニヤが止まらない。
「嬉しくって、どうしよう。ほっぺがやばい」
緩みっぱなしの頬を押さえた。私、さっきから、変態くらいニヤニヤしている。
「ははは。それ、移る。俺もにやけてきた」こっちをみて、徹君が笑っている。
徹君のほほえみは、にやけてない、ハンサムだ。
私の旦那さんになる人は、笑っても余計にハンサムだなーと思うと、さらに十倍くらい、にやけてきた。
やばい、私、浮かれ切っている。
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