仰ぐ陽

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プロポーズをしてくれた時、徹君が「あと、二週間、忙しい」と言っていた通り、その後、忙しくって会える時間が減った。それでも、隙間に、夕ご飯を食べたり、顔を見に来たりする時間を作ってくれたから、徹君は優しい人だと思う。 そう伝えると、「あー、優しい、わけじゃない。そう思ってくれてたらいいけど。俺が葵に会わないと、やばい」 そう笑う徹君は、優しい人だと思う。 「そんで、おじさんたちに挨拶する前に、葵の気が変わって、逃げられないように、こう罠をね、かけていくわけ」 言いながら、私を輪っかにした腕の中に私を捕まえるように入れると、首筋に口をつける。 「ははは、逃げないよ」 笑っていると、首筋のキスが下りてくる。 私が笑えなくなるまで、胸元ギリギリまでキスをする。 「あー。俺が無理。これ以上すると、一晩中離したくなくなる」 本気かどうかわからないようなことを軽く口にして、私をたぶらかすことを忘れない。
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