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連絡があった居酒屋にお迎えに行くと、奥の個室へ通される。
事務所のスタッフらしい人が4人いて、そこには、樹君もいた。テーブルの上の様子から、かなり飲んでいる様子なのはわかる。
「あ、葵さん?」
入口近くにいた女性に名前を言われて、びっくりする。
徹君のお迎えが来るのを待っていたらしい。
部屋の奥でゆらゆら手を振る徹君は、結構、酔っているっぽい。
「はい、すみません。徹君の迎えに来ました」
「今日のスターですね」
そう言って、その人はにっこり笑った。
会釈して、徹君の隣に座っている方が叔父さんだろうと、挨拶しに行く。
徹君や樹君に少し似ている気がする。
頭を軽く下げると、私が言葉を発する前に、
「葵ちゃん?来てくれたの?」と笑ってくれた。
立ち上がってこっちに来ようとする徹君を手で制している。
ちょっと挨拶させろ、ということだろう。
「すみません。佐藤葵です。徹君のお迎えに来ました」
深めのお辞儀をする。
それに応じるように「徹がお世話になっています。徹の叔父です」と挨拶してくれた。
徹君から、一応、事務所の名前でコンペに参加していると聞いていた。
「コンペ、おめでとうございました」
「あぁ、どうも。んー、こいつ、頑張ったからね。徹が一人で全部やったようなもんだから」
徹君のほうを見て、ニコニコしている。
「いや、皆さんのサポートのおかげです」
徹君がほかのスタッフに軽く頭を下げる。
気が付くと、樹君がそばに来ていた。
「葵ちゃん、こいつのお迎えに来てくれたの?」
「うん。お祝いだし、飲みたいだろうと思って。樹君も送ろうか?乗っていく?」
「あ、いや、俺も車。叔父さんのお迎えで、さっき来たとこ。叔父さんとこに用事があって。ついでに叔父さん、送ってくことになってる」
「あ、そうなの」
樹君がこの場にいることに納得して頷くと、樹君が徹君をちらっとみて、からかうように笑った。
「葵ちゃん、こいつ、やばいだろう?」
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