4801人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
「え?」と樹君に聞き返す。
徹君を見ると知らんふりをしているし、叔父さんもかなり顔を緩めて笑っている。
「今日のコンペのデザインみた?」
「うん。こないだ、少し見せてもらったけど。素敵だったよ?」
「素敵か、素敵かなぁ。必死すぎて、やばい奴だと思うけど」
樹君がけらけら笑う。
どういうことか?と思ったら、ほかの女性スタッフが、にこにこ笑って、「やばくはないですよー。素敵です。ねぇ?」とフォローした。
「葵にデザインコンセプト名、言ってないんだよ」
徹君が樹君に軽くキレている。
叔父さんが、「はぁ?なんだそれ?お前」と壁に立てかけてあった、大きな黒いデザインバックを持ち出す。
「これ。葵ちゃん、見てやって」
中からリボンのついたパネルを取り出すと渡してくれた。
この前見せてもらったものより、しっかりしたコンピューターグラフィックで徹君の駅舎のデザインがプリントされている。
素敵だと思うけど。
最初のコメントを投稿しよう!