挨拶

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挨拶

珍しく二日酔いの徹君は、私が塾へ仕事をする時間に一緒に送っていった。 帰る前に、「おじさん達に挨拶に行くから。来週末でいいかな? 明日でもいいけど」と聞かれた。 土日は仕事だけど、夕方には終わるので、どちらでもいいなと思いながら、壁のカレンダーを見たけど、あんまりにシンプルな物を使っているので、いつが良いのか分からない。 「うん。大丈夫だと思うけど、ちょっと待って」 ウェブで日付を調べる。 徹君が、うちの両親に結婚の話で挨拶するなら、変な日に行ったら駄目だろう。 「あ、明日は駄目、仏滅。来週、土曜日が友引だから。土曜日で」 「あ、やっぱりそういうの、気にする?」 「うん。うちの親、一応、気にすると思うから」 「了解。うちは、その日曜で良い? 葵の方が先が良いけど、一応うちの親父にもすぐ会わせたいんだけど良い?」 確かに両方に間隔を開けずに挨拶しないと、町内なだけあって、いつ親同士が顔を合わせるとも限らないし、どちらかだけが知っているというのはまずい。 「うん」 もう樹君と優香さんにはお付き合いしていることは伝わっているけど、徹君のお父さんには直接お会いしていない。 昨日、お迎えに行ったことで、叔父さんに先に会ってしまった。 「ねぇ。昨日叔父さんにお会いしたけど、もう話してある?」 「いや、まだ。付き合ってるとは言ってるし、コンペの件でかなり本気だとは思われてると思うけど。葵のご家族が先だろうと思って。結婚のことは、まだ兄貴にも言ってない」 昨日、叔父さんの会社の方が皆さん私の名前を知っていたので、驚いたことを思い出す。 うちの家族に先に挨拶したいと言ってくれる、徹君の気遣いがうれしかった。
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