家とスーパー

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一度、知り合うとよく同じ人に会うようになるということがあると思う。 週末、仕事の帰りにスーパーで買い物していたら、徹君を見かけた。 実家が近いのだけど、一人暮らしをしていると言っていたから、自炊もするらしい。 「こんにちは」と近寄って挨拶したら、「あ、佐藤さん」とびっくりしていた。 ちらっとお買い物を盗み見ると、徹君のカゴには、食パンとトマトとか、ベーコンとかが入っている。 私は明日、玲奈が子供を連れて遊びに来てくれるので、その買い出しだ。 「徹君、お料理するんだね」 「まぁ、少しですけど。佐藤さんは、お料理上手ですね」 この間ご馳走したお礼をお世辞にして言ってくれた。 「好きなだけ。明日、お友達が来るんだ」 一緒に歩きながら、唐揚げ用のお肉をかごに入れる。 「飲み会ですか?」と徹君が笑っている。 この間、酔っている時に出くわしているから、そんなことを言われてしまう。 「うんん、あの時ドタキャンした友達が子供連れてくるから、健全にお昼にカレーと唐揚げです」 笑ってかえすと、徹君が私のカゴに視線を投げる。 「ミョウガ、大量だから、飲みのアテっぽいとおもって」 「あ、それは、そう。そのまま刻むのも好きだし、あとは、甘酢に漬けるの」 私は、ミョウガが大好きだ。 「まだ時期が早いから、実家のはまだなんだけど、実家で生えたらもらってきて、もっと漬ける」と張り切って言うと、徹君がへぇっと笑っていた。 一瞬間をおいて、こっちを見ると、「ミョウガって、あんまり食べると、どうこうっていいませんでしたっけ?」と聞かれた。 「……バカになるの。知ってるよ。昔、うちのおばあちゃんによく言われた」 ぷふっと笑ったので、ばかになるという迷信を知っていたに違いない。 揶揄わられた。 「なんだ、知ってるじゃん。バカなんかならないよ。おいしいし、初夏にしか食べないよ」 「初夏ですね」 徹君は、そうさらっと言って、棚を見ているけど、今はまだ初夏じゃない。もう売っているのを見て、食べたくて、買ってしまったのだ。 徹君の肩が笑っている。
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