家とスーパー

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結局、スーパーで私は、子供が喜びそうなものを結構買ったけれど、徹君は朝ご飯のようなものをちょこっと買っただけなのに、ぐるりと一周、ずっと私のおしゃべりに付き合ってくれた。 子供用にカルピスを買ったら、「うちの甥っ子も好きですね」とにっこりしていた。 樹君のお子さんは、どんな子だろう。 玲奈の子供はもう2歳くらいで、おしゃべりもするから、かわいいらしい。 同世代の友達はもう子供がいる人が増えてきた。 「カルピス、炭酸割するの、私も好き」と私が言うと、「それは、カルピスソーダの酒の事ですか?」と聞かれてしまった。 「普通にジュースで。ブドウ味が好き」と訂正したけれど、徹君の中で、私、酔っ払いのイメージが強すぎる。 お酒も結構好きだけど。 会計を終えると、「袋、持ちましょうか?」と聞いてくれた。 優しい。 大丈夫、と遠慮して、マイバッグを持ったら、「持ちますよ。重そう」とジュースの入ったバッグを軽々持って、車まで送ってくれた。 あんまりにスマートでビビる。 「ありがとう」 車の前でお礼を言う。 「いえ、こないだ、美味しいものご馳走になったんで」 徹君が微笑むと、本当に好青年とはこのことだと思う。 嬉しくなっちゃって、そのまま「じゃ、またご飯食べに来てください」と言ってしまった。 だって、美味しいって言ってくれたから。 「はい、また」と自然に挨拶して帰っていく徹君は、大人だ。 少し優しくしたら、変に誘われたと思って、引いてないといい。
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