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五月
ゴールデンウィークは、塾の集中講座に駆り出され、いつも以上に忙しかった。
塾で教えることには段々と慣れて、子供達との距離間も次第に近くなる。
「さとうせんせいー。先生っていくつですか?」
こういうプライベートな質問も出る。
「授業に関係ないよ」
「えー、教えてくれないと余計に気になる」
日本人は歳をすぐに聞くけど、外国じゃ、女の人も男の人もすぐに歳を聞くのは、嫌がられる国も多いよ、と忠告してから「英語で聞けたら答えてあげる」とルールをつくる。
すぐさま少し英語に自信のある子が
「How old are you?」
と聞いてきた。
「I'm thirty. How old are you?」
と聞き返すと、「I'm thirteen.」とちゃんと答えて、してやったりの顔をする。
隣の子は私の答えがわからなかったようで、質問した子を突っ付いている。
「えー、じゃあ彼氏は? えっとぉ ドゥ ユゥ ハヴ ボーイフレンド?」
「Do you have "a" boyfriend?」間違えを直してから、「No, I don't.」とだけ答えた。
答えに女の子達は一瞬色めき立ったが、Yesだったら聞くこともあっただろうが、Noではもう聞くこともなく、すぐに落ち着いた。
そのすきを逃さず、復習プリントに集中するようと、授業へ注意をむける。
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