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「え、いえ。弟ですけど」
弟!
「え、あ、トオルくん?」
「あ、……はい」
知らない人に突然人間違いの上、名前を呼ばれてポカンとするトオル君にごめんなさい、間違えました、とただただ謝って脇をすり抜け、足早に会計を済ませて車へ逃げた。
びっくりした。
びっくりしすぎて、運転席につくとなぜか笑えてきた。
樹君(に似てただけ)の声に今でもあんなに反応する自分にまず驚いた。
樹君にそっくりなトオル君に会っちゃったのにも驚いた。
そして、結局は単なる人違い。
恥ずかしすぎるー!
もぅううう。
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