4827人が本棚に入れています
本棚に追加
DIYストア
その数日後の土曜に早速、徹君が実家の建設会社のものと思われる中型の白いトラックで迎えに来てくれた。
いつもの黒いハッチバックタイプの車とは、サイズも随分違うけど、上手にバックして、家の前へ停めた。
トオル君は、こないだより随分カジュアルな格好で、ジーンズに7分袖にまくったコットンシャツだった。
私も網戸を運べるように、動きやすい格好にした。
さっそく「どうぞ」と助手席を開けてくれた。
実家にある軽トラよりも、車高が少し高い。
よいしょっと勢いをつけて乗った背の低い私を見て、「一人で乗れる?」と聞いてくる徹君は少し意地が悪い。
「これくらいなら余裕で乗れます」
でも、軽口叩きあえるくらい仲良くなれたのは少し嬉しい。
はははって笑うと、運転席に乗り込む。
「大丈夫ですか?」とシートベルトの確認して、徹君がエンジンをかける。
少しごつい、お仕事用のミッション車。
「徹君、マニュアル運転できるんだね」
「あー、建設業だと、現場に行く時にこれくらいのトラックはよく使うし、実家にも多いんで。今いる設計事務所はトラックはないですけど」
樹君と徹君のお父さんは、地元で昔からリフォームや、増築をよくやる会社をしているから、確かにこういう車に乗れないと不便なんだろう。
前にレストランから送ってくれた時も、車内に二人きりなのはドキドキしたけど、私は結構酔っていた。
ただ、夜運転する徹君はハンサムで色っぽいな、とか、けしからんことをぼけーっと考えていた気がする。
今は、トラックの車内で一般的な車より少し距離があるとはいえ、シラフだし、ミッションのギアに乗った左手がやっぱり素敵で、多少、狼狽える。
勝手にドキドキしているのを悟られて、気持ち悪いと思われたら最悪なので、なんでもない顔をして、家の話や世間話をする。
親切心で優しくしてくれたのを勘違いする年上の女はイタイだろうから。
最初のコメントを投稿しよう!