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今さっき迷惑をかけたトオル君は、私の同級生、樹君の3学年違いの弟だ。
樹君とは小学校で同じクラスで、よく男女のグループでクリスマス会や誕生日会をしていたから、3学年違いの弟がいた事を知っている。
おサルみたいなかわいい子だったような。
でも、クラスメートの弟の名前までしっかり覚えているのは、私が中学校から高校まで、樹君に長い片想いをしていたからだ。
中学校では別のクラスだったけど、中2の時学習塾で一緒になった。
小学生の頃、一緒に遊んでいた時は意識していたわけじゃないのに、たまに塾の帰りや学校の廊下おしゃべりしているうちに好きになっていたんだと思う。
もうどこが良くてとか、どんなきっかけで、とか覚えていないくらい昔の話。
でもとてつもなく好きだった。
ザ・片想い、と言っていい感じ。
まさに青春。毎日、キュンキュンしていた。
中途半端に友達で、それを壊してしまうのが怖くって、結局告白もできなかった。
高校が別々になり、段々と会わなくなって、片思いの恋心はゆっくりと心の下へ沈んでいった。
今思い出しても甘酸っぱい。
15歳の私のすべてだった気がする。
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