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徹君が網戸を下ろし始めたので、樹君も手を貸す。
下ろし終ったところを見計らって、「まずお茶、どう?」と二人に声をかけた。
徹君は、「俺さっき頂いたし、コレ、はめちゃうわ」というので、樹君に「どう?」と聞き直す。
「あ、すみません。じゃ、頂こうかな」
そこで徹君が網戸取り付けてくれる間、樹君に紅茶とケーキを出して、お互いの近況や、知っている他の同級生の近況を報告しあった。
初めは驚きと恥ずかしさでドキドキしたけど、落ち着けば懐かしい友人にあった、暖かい気持ちしかなかった。
大人になったな、と思った。
私はあの時の十五歳ではないし、樹君もすっかりいい大人で、良いパパだった。
15年は、長い。
少し、安心した。
ちょっとして、「全部、はまった」と徹君が網戸を取り付け終わって居間へ合流した。
「じゃ、バスルーム、見てもらおうかな?」
タイミングよく切り上げて、樹君をバスルームへ案内する。
壊れているわけじゃないけど、古くって夜、凄く寒いのが不便。
出来たら、和風に保ちつつ、ちょっとモダンにしたい。
「ユニットバスでいい? それともわざと古風なヒノキとかなにか変わったデザインにする?」
んー。
「ありきたりなユニットバスじゃ合わない気もする。でも、ヒノキとかは高そう」
「まぁ、それなりの値段はするよね」
樹君はあちこち見て、サイズを図りつつ、私の希望を聞いてくれた。
出来ればソーラーパネルで電力消費を抑えたいこと、薪のお風呂のような古い物は好きだけど、今は夕方からの仕事が多いから、現実的にはお風呂の用意が簡単な物がいいこと。
「じゃ、一番手頃な感じでいくら位かと、ちょっとデザインとか合わせて凝った感じだといくらになるか、出そうかな」
そのままキッチンも見てもらって、カウンターが欲しい話なんかをする。
家の外までぐるっと見てもらって、あれこれ3人で話が弾んだ。
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