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「田口は、佐藤さんと知り合いなの?」と川西さんが聞く。
「あ、はい。俺、葵さんの一個下なんで」
田口くんは軽く頷いた。
「田口君、生徒会長でしたしね」と私が付け足すと、「葵さんはほぼ毎日、学校のテレビに出てた!」と田口君がこっちを見た。
「え、そうなの?」
中学が違うとそういう校内放送のシステムも違うらしく、それぞれの学校の懐かしい思い出話に花が咲く。
はじめましての人ばっかりのBBQで気を使ってあまり食べれないんじゃないかと思ったけれど、おしゃべりの合間に、徹君が「これ、焼けたよ」とお皿に次々お肉を乗っけてくるので、すぐにお腹がいっぱいになった。
時々徹君がタメ口なるのが好きだ。
年上だからって気を使われているんじゃなくって、仲良くなれたような気がする。佐藤さんから、葵さんになれたのも、うれしい。
「お前、佐藤さんに餌付けしてんのか? 俺にも寄越せよ」
もうキャンピングチェアに座り込んで、立ち上がるのもめんどくさいのか川西さんが座ったままお皿を突き出して文句を言う。
「はいはい、どーぞ」と徹君が笑って、トングでお肉を乗っけて、隣に座っているレイコさんにも「どうぞ」と多めにお肉を取り分けた。
「あはは、がめつい!恥ずかしい!」
レイコさんは笑って、旦那さんを突っついている。
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