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「こんにちは〜。葵ちゃん、居る?」
聞き覚えのある声にパジャマのまま階段を降りると、ゆうちゃんが宅配便を持って、土間に立っている。
「どした?具合悪いの?」
ゆうちゃんこと、片桐裕太は、中学の同級生で、地元で宅配便の会社のドライバーをしている。
小柄だけど、オシャレな男の子で、数年前に結婚して今は子供が二人いる。
今はお仕事中で、宅配便のユニフォームを着ているけど。
「風邪ひいたみたい。ゆうちゃん、夕方もこっちに配達ある?」
多分、この間注文した参考書だろう、薄い郵便物を手渡しながら頷いた。
「あるけど」
「じゃ、コンビニで冷却シートと風邪薬買って来てくれない?」
「あー、良いよ。でも4時ー6時だけど、大丈夫?」
二千円ほどお財布から取り出して、ゆうちゃんに渡す。
「頭痛薬はあったから飲んだんだけど、切れちゃった。もし、無理なら良いから。実家には夕方すぎには親が帰ってくるし」
立って話していても、少しくらくらして、身体がキツイのが分かる。
「オッケー、じゃ、寝てろよ」
「ありがとうね」と玄関を出ていくゆうちゃんを見送りもせず、フラフラと二階の寝室へ戻る。
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