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昼前にゆうちゃんが来てから、どれ位たったのかわからないけど、気がついたら家の中で音がして起きた。
もう夕方なんだろうか。
「ゆうちゃん?」と声をかけると、軽くノックして、「入ります」と、何故かスーツ姿の徹君がコップ片手に入って来た。
寝ぼけているのか、よく状況が分からない。
「徹君? どうしたの?」
髪もボッサボサで、ぼけーっとしているで、かなり恥ずかしい。
慌てて布団から起きようとして「あ、寝てて下さい」と止められた。
「さっき、コンビニで片桐さんに会って、声掛けたら、葵さんが風邪だっていうんで。預かって来ました」
ゆうちゃんは顔が広い。
昔から明るい性格だし、宅配便で、色んな人の家に行っているのもあるんだと思う。
樹くんとも、中学、高校と仲が良かった気がするし、徹君とも知り合いなのか。
布団の隣に座って、コンビニの袋から薬を出してくれる。
「ありがとう」
さっき急に起き上がろうとしたせいで、少しくらくらする。
「薬の前に、なにか食べれます? ヨーグルトとプリン買って来ましたけど。お粥がよかったら、レトルトかったんで、温めますけど」
「ん、プリン食べる」
少し起き上がろうとすると、そばにあったクッションを掴んで、背中へ置いてくれた。
子供にするみたいに、プリンの蓋を取って、スプーンを取り出してくれる。
「なんかこないだの川遊びで、冷えちゃいました?」
BBQで風邪を引いたのでは?と心配してくれている。
「ううん、あのね。あの後、一人で飲んでて、窓開けて寝ちゃったの」
徹君は呆れているかもだけど、今日は疲れていて、ぼやーと視線が定まらない。渡されたプリンを持っている事に集中する。
するとさっと手が伸びてプリンを引いた。
顔をあげると、徹君がプリンをスプーンですくってくれている。
「こぼしそうだから。はい」
正気なら恥ずかしすぎるのだけど、熱っぽさにどうでも良くなって口を開ける。
冷たいプリンが痛む喉に気持ちいい。
「はい」
スプーンに乗ったプリンを突き出されるまま口を開けて、半分ほど頂いた。
それも少し面倒になってくる。
「もういいの?」と徹君が優しく聞いてくれるので、「うん、もういい」と頷いた。
「残り、冷蔵庫に入れときます」
「次、薬」
水の入ったグラス渡される。こぼさないようにと、両手で受け取ったら、薬を受け取る手があかず、「あぁ。」と徹君が戸惑った顔して、錠剤を口に入れてくれた。
水で流し込んで、グラスを徹君に渡して、枕へずるずると倒れ込む。
少し疲れた。
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