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アンドリュー
風邪をひいても仕事は休めず、水曜から風邪薬を飲んで誤魔化しながら仕事をして、一週間もしたらすっかり回復した。
ゆうちゃんと徹君にはメッセージでお礼をした。
徹君が薬を持って来てくれた後、寝てしまって、あまりしっかり覚えていない。
冷却シートを貼ってくれたようだけど、とても優しかったイメージだけ残っていて、確証がない。熱で私に都合良く記憶の書き換えをしているような気がするので、深く考えない事にしている。
あの日、起きた時にはもう夜で、キッチンに行くと風邪薬が置いてあった。
それだけ。
週末、実家にご飯に呼ばれて行くと、珍しく父が私に頼み事があるという。
「葵、中学校に今年も新しい英語の先生が来るんだけども、8月前に来るらしい。いつもは、若い英語の先生がボランティアで面倒見るんだが、今年は池田先生は野球部をやっとるし。子供が産まれたとこだし、負担が大きいんだと」
「ALT?ネイティブの先生の事?」
「それ。で、他の若い先生はもう少しで産休の女の先生がいるらしいんだけども、その先生も部活もあるし、10月から産休で時間的に厳しいらしいんだ」
「お前、手伝ってやらんか? 学校の事は学校でやるし、外の、日常の事だけだ」
「町の教員アパートに入るそうだし、町の分からん所を教えてやったり、話し相手になってやるだけのことよ」
それくらいなら、仕事の合間に出来そうだと、軽く引き受けた。
私も子供の頃、イギリスから来たという、大きな身体でゆったりと笑う、素敵な先生のお世話になった。
仲良くしてもらって、教員アパートにクラスメートと遊びに行ったこともある。
違う人でも、このシステム自体に恩返ししたいし、最近、ネイティブの人と英語の会話をしていないので、練習がてらに丁度いい。
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