4824人が本棚に入れています
本棚に追加
そのニ週間後、その先生は、成田から電車で最寄り駅まで来るらしいので、私がお手伝い始めに、駅に迎えに行った。
町の教員アパートの場所は聞いてあるし、鍵も預かって来た。
駅のホームで待っていると、空いた電車がやって来た。ついこの間まで、東京でぎゅうぎゅうの満員電車に揺られていたのが遠い昔の様に感じられる。
降りる人もまばらで、すぐにスーツケースを転がして来る外国人青年が目にとまった。
背は175cm位で、ブラウンのショートヘアーが少しカールしている。
多分二十代半ば。
手を振って、こちらに気づいてもらってから挨拶をする。
『アオイです。よろしく』と手を差し出す
『アンドリューです。メール、ありがとう』と握手した。
父を通して、学校の英語課の主任から、アンドリューのメールアドレスを聞いて、事前に少しやり取りをしていた。
『疲れたでしょう? お部屋の鍵を預かって来たんで、行きましょう』
スーツケースを積み込んで、教員アパートへ向かう。
車内で、長旅が大丈夫だったかとか、日本の印象など軽く話しただけだけど、人懐っこい良い子だな、と思う。
イングランド北部出身らしく、イングランドへ留学していた私には会社時代に良く対応していたアメリカ人より話しやすい。
最初のコメントを投稿しよう!