アンドリュー

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なんだか話を変えようとしたのに、ドツボにはまった感じ。もう忘れて欲しい。 「ハハハ、可愛かったですよ」 えっ、と思わず顔を見上げる。 薄暗い駐車場でも私が赤くなったのがバレたかもしれない。 形勢逆転を狙って「ははは、トオルくん、酔ってるねー」と余裕のある振りをしていなした。 トオルくんは、ハハ、と笑って、ちらっと居酒屋を振り返り、先程のグループがもう解散したのを確認し、私に向き直ると、「酔ってますよ」と一歩、私に近づいた。 「あの時は酔ってなかったですけど」 そういうと、手を伸ばして、風で顔にかかった私の髪をさっと耳にかけてくれた。 蛇に睨まれたカエルのように固まる。 ちょうど、ピコン! と、ポケットに入れた携帯にメッセージが来て我に返る。 慌てて取り出すと、父から「もうつきましたか?」という確認だった。 「お父さん」 徹君に説明すると、「呼んでこようか?」とスナックを指差して聞いてくれた。 「大丈夫。メッセージしたら出てくると思う」 と、言いながら、『今、駐車場。』と父に返信する。 「徹君は?乗ってく?」 「いや、歩きたい気分なんで」 と言うと、じゃ、と去っていった。 徹君が角を曲がって見えなくなって、ふっと息を吐く。 運転席に戻って、今さっきの出来事を反芻していたら父がスナックから出てきた。
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