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それから数日、アンドリューがこの町で生活をする為に必要と思われる物を調達するお手伝いをした。 初日はコンビニだけ教えたけど、自炊もできるように近所のスーパー、そして郵便局、銀行、役場へと挨拶を兼ねてでかけ、簡単な外食ができる定食屋へ連れ回す。 どこへいっても、田舎なので、新しい外国人は目を引く。まして、アンドリューがにっこり笑うと、その場の女の子が数人、目をハートにするのが感じられる。 本人は、コンニチハーと微笑みながら、サッと日本のイケメンがいないか物色しているのに。 単純にカワイイわけではないのは早々とバレている。 なにせ、郵便局でカウンターにいた年上の男性に目をつけて、こそっと『あー、あの人、結構かわいいのに、指輪してる』とか速攻言ったのだ。 『あのさ、今、郵便の出し方、聞いてた?』 『聞いてた。他は、なしだね』と他の職員をざっとチェックしてる。 『聞いてないじゃん、もう〜』と隣のアンドリューの肩を押すと、 『うわ、暴力的! 』と肩で押し返された。 役場で教育委員会の担当の方にも挨拶したら、担当の林さんは、アンドリューにHelloと英語で挨拶した。 「また、正式にお願いするけど、公民館の方の英会話もお願い出来たらやってもらうから」と日本語で続けて言ったので、アンドリューに通訳した。 すでにメールでは言われていた事なので、アンドリューがオッケーと軽く返事をしたら、林さんは私に、 「佐藤さん、こうやってお世話係はボランティアって事でお手当ては出ないんだけど、その公民館のクラスはアシスタントで付いてくれたら、ちょっとだけど時給が出るから。よろしくおねがいします」 と軽く頭を下げた。
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