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「あ、はい。ぜひ」と引き受ける。
塾の仕事はテスト、受験勉強が基本で、私が将来的にやりたいものとは少し違う気がする。地元のおばさん相手でも英語会話教室はいい経験になりそうだ。
それに、こないだメールで、前に働いていた会社の課長が定年退職されると聞いた。派遣だった私をかってくれ、今も時折外注に出せる翻訳案件を回してくれている。新しい課長が誰なのか知らないが、あの課長じゃなくなったら、もう仕事は回ってこないかもしれない。
今はできるだけ仕事を受けて、可能性を広げていきたい。
何より、アンドリューとの仕事なら、楽しそうだし。
奥の方でデスクに向かう父に軽く手を振ると、カウンターから出てきて、アンドリューに挨拶した。
『父よ』
紹介すると、アンドリューは握手をして、「はじめまして。アンドリューです」と徐々に流暢になっている日本語の自己紹介で挨拶した。
「どう? 慣れましたか? 田舎だけど、大丈夫そう?」
父が聞くので、通訳すると『はい、いい所ですね』とにっこり笑った。
まさに好青年。
「あ、葵、もうすぐお祭りがあるから、アンドリュー君も連れて行ってあげなさい。田舎の町で、小さいけど、日本のお祭り、面白いだろう?」
カウンターに置いてあったリーフレットを手渡された。
そういえば、徹君も、お祭りの準備だとか言っていた。
ほぼ手書きのリーフレットによると、花火、中学校校庭での、盆踊り、金魚すくい、夜店、青年団によるゲーム、体育館での婦人会のバザー、手芸、生花展示とまさになんでもありっぽい。
子供頃、お友達と行った地元の夏のお祭り。
懐かしい。
「うん、行くね」
父に返事して、アンドリューに説明すると、面白そう!と目を輝かせている。
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