4823人が本棚に入れています
本棚に追加
夏祭り
お祭りの日は、塾の仕事も午後の夏休みコースだけで、夕方、家で浴衣に着替えると車でアンドリューのアパートへ向かった。
『アオイ、素敵だね!』と浴衣姿をベタボメしてくれるTシャツ、短パンのアンドリューをパンいちにして、浴衣を着付ける。
普通なら恥ずかしくもあるんだろうけど、ここ数週間一緒にいて、なんだか気心がしれて、あまり気にならない。
アンドリューだし。
動画で勉強してきた帯結びもなんとか様になって、アンドリューもすっかり浴衣で男前だ。
『かっこいいよー。いい感じ』と褒めると、本人も気に入ったようで写真を何枚も撮った。
アンドリューのアパートからお祭り会場の中学校まではすぐそこなので、下駄で歩いて向かう。
日本の有名なお祭りについて、説明しながら歩いたら、すぐ。
地元のお祭りは、小さくて、アットホーム。
ちゃんと夜店も出ているけれど、アナウンスは地区のボランティアだし、中学校の体育館ではPTAのバザー、婦人会の生花展示なんかもやっていて、校庭の一部ではペナルティーキックゲームやら、ヨーヨー釣り、くじ引きなんかを地元の青年グループが子供向けにボランティアでやっている。
『これは小さいお祭りだけど、ちゃんと後で花火もあるしね。』
アンドリューに説明しながら、ぐるっと校庭を見渡す。
懐かしい。
子供の頃、お友達とお小遣いを握りしめて、来たっけ。
夜店の光に未だにワクワクする。
アンドリューを連れて、夜店を回り、焼きそばとイカ焼きを食べて歩く。
知り合いの大人に会えば、アンドリューを紹介して、挨拶する。
ぐるりと回って、校庭の奥でやっていたヨーヨー釣りのほうへ行くと、知った顔があった。
最初のコメントを投稿しよう!