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ここ三ヶ月ほど力を入れてきた案件の目処が立ったお祝いにと、スタッフ数人で仕事終わりに食事をしていたら、どこかで見た小柄な女性が一人で入ってきた。
しばらく観察していて、ようやくこの間書店で自分と兄を混同して話しかけてきた人だと気がついた。
あの時は、カジュアルな印象だった気がするが、今日は細身のパンツにヒールの細いパンプスでずいぶん違った雰囲気に見える。
同僚と会話しつつ、少し離れた位置の彼女の様子を時々伺っていると、なんだか予定がキャンセルされたようで、テーブル席からカウンターへ移動して、一人で飲み始めた。
あの時、なんで俺の名前を知っていたのか?
兄の元カノとかそういうことなんだろうと思うが、あの時、あんまりに動揺した様子だったあの人が、今日は落ち着き払って一人ワインを飲んでいる様子が気になってきた。
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