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「明日香ちゃん,ずっと昏睡状態だったんだよ。もう目が醒めないかと思って心配してたから本当に嬉しい!! 実はちょっと焦ってたんだ」
『ダ……ズ……ゲデ……ェェェェェ……』
口から大量の涎が溢れ出し,鼻水が垂れ,こぼれる涙が耳に入った。自分の名前を呼んでいる誰かがいる現実に動揺と混乱が入り交じったが,なにより助かるんじゃないかと微かな期待が不思議な安心感を与えてくれた。
自分の姿がどうなっているのかわからず,現実なのか夢なのか,痛みすら感じないまま涙を流すことしかできなかった。
「明日香ちゃん,本当に綺麗。本当に本当に。ずっと前から私の憧れだったんだよ」
『オレ……ガイィィ……ジバズ……ズゥゥ……ダズ……ゲェェ……』
「もう,本当に可愛いんだから。私ね,ずっと明日香ちゃんに憧れてたんだよ。明日香ちゃんみたいになりたくて。ほら,あの日,明日香ちゃんたちに仲間外れにされる前からずっと」
『ダ……ズ……ゲデ……ェェェェェ……』
「ねえ,覚えてる? 明日香ちゃんと美樹ちゃんがさ,遠足のグループを作ったときに私と目があったじゃん。でも,美樹ちゃんが最後のメンバーに結子ちゃんを誘って,結局,私は最後までグループが決まらなくてさ……あのときは本当に寂しかったなぁ……」
『オ……レ……ガイ……ジバズゥゥゥ……』
「あとさ,あれも。給食を一緒に食べるグループでさ,私はいつも明日香ちゃんの近くにいたのに,いっつも私以外の子と仲良くしてたよね」
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