少女たちの素敵な花園

8/11
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「そっか……わかんないか……残念……」  女の子がゆっくりと私の周りを音を立てずに歩きながら,ガサガサとビニル袋の音だけが響いた。 「でも……結子ちゃんも美樹ちゃんもわかってなかったし,しょうがないかな。明日香ちゃんには覚えていてほしかったけど。しょうがないよね……」 『ワ……ワ……ガン……ナ……イィ……』 「ねぇ,結子ちゃん。美樹ちゃん。やっぱ,明日香ちゃんもわかんないって」  ビニル袋の音を立てながら,カチャカチャと何かを操作しているような音がした。やがて,私の首をしっかりと固定していたベルトが取り外され,この状態にされてから初めて首を動かすことが許された。  首どころか全身に力が入らず,自分の意思とは関係なく首が転がるように横を向いた。その瞬間,女の子が横に立って私の身体をウェットティッシュのようなもので拭いてはビニル袋にゴミを捨てているのが見えた。  横を向いたことで大量の涎が溢れ出し,ステンレス製の台の上に水たまりをつくった。 「あらあら。明日香ちゃんったら,汚しちゃって。もう,こうやって私がお世話しないといけないとか,マジで最高なんだけど。こんな明日香ちゃんの内側とかのお手入れとかマジ最高」  女の子は嬉しそうに台をウェットティッシュで拭きながら,私の顔を優しく丁寧に拭いた。使用済みのウェットティッシュが床の落ちたらしく,女の子がしゃがみ込む瞬間,初めてその子の顔を間近で見ることができた。 『ダズ……ゲ……デェェ……ゴワ……イ……ヨォォ……』
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!