少女たちの素敵な花園

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 女の子がしゃがみ込んだことで視界が拡がり,壁の近くに設置されている斜めに傾斜のつけられた二つの台が見えた。  台の上には両手と両足が根元からなく,お腹を大きく切り開かれて内臓がむき出しのまま首や股間に大量のチューブが取り付けられた結子と美樹の姿があった。 『ウゥゥゥ…………ウゥゥゥ……』  喉の奥から声が漏れる二人の視線は私を恐怖の眼差しで見ていた。達磨のような姿にされ,内臓が外に滑り落ちても,そのまま生かされている二人の姿が信じられなかった。  二人の姿を直視できず,首に力が入らないまま視線を自分の身体に向けた瞬間,私自身の肩から先がなくなっているのが目に入った。 「ありゃ,明日香ちゃん。もしかして自分の姿を見ちゃったの? でも,心配しないでね。私がちゃんとお世話してあげるから。ずっとお世話してあげる」  再び女の子の顔が目の前に現れると,屈託のない笑顔で私の首を両手で持って真っすぐ上を向かせた。そのまま鼻歌を歌いながら,私の頭を再びベルトで固定すると音を立てて二人がいる壁のほうへと移動していった。 「ああ……でも,明日香ちゃんに見られちゃったのね。もうちょっとだったのにね。先輩の資料だと,ほら,あのビラビラのお腹があり得ないくらい,めっちゃ破裂してね,花火みたいになって,その後きれいな大小のお花が咲いたみたいになるらしいのよ。ああ……残念,私,またやらかしちゃったね」  二人の呻き声が大きくなったかと思うと,規則正しく動いていた機械音がほんの少しだけ大きく聞こえた。部屋の中をうろうろと歩き回る音がしたかと思うと,突然私の目の前に覗き込むようにして顔を突き出してきた。 「ごめんね,明日香ちゃん。本当は明日香ちゃんにサプライズで綺麗な花火とおもしろいお花模様を見せてあげるつもりだったんだけど,なんか,もういいや。予定変更」
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